吉本伊信が創始・提唱した内観療法。国家資格キャリアコンサルタントの学科試験では頻出です。
この記事では、内観療法についてまとめました。
内観療法の概要
創始・提唱は吉本伊信(1916-1988)。
浄土真宗に伝わる求道法から宗教的要素を取り除き、誰でもできるように修正・発展させたもの。
吉本伊信は、浄土真宗の「身調べ」という修行法から、内観法(内観療法)を開発ました。
吉本伊信は、これをゲシュタルト療法の枠組みで捉えてはいませんが、国分先生は理論的にはゲシュタルト療法で説明がつくと考えています。
内観療法の方法
研修所や内観道場に7日間こもって、身近な人や今までの人生で深いかかわりをもった人(家族、教師や師匠、職場の上司や先輩など)を一人一人思い出し、その人たちとの関係を、
・してもらったこと
・して返したこと
・迷惑をかけたこと
の3点に絞って想起します。
カウンセラーとの面接が1日に8回(1~2時間ごとに3~5分)あり、内観した内容を簡潔に報告します。
内観がうまくいくと、自分の自己中心性を自覚し、周囲の人々からの愛情に感謝できるようになっていきます。
その結果、情緒が安定し、思いやりが生まれ、対人関係が好転し、本来の自己を取り戻すきっかけになります。
内観療法の効果
内観療法は親子や夫婦や職場の人間関係の不和・非行・不登校・うつ状態・アルコール依存・心身症などの問題の改善に効果があります。
内観療法を行えば効果がすぐに必ず現れるというものではありませんが、後から効果が出てくることもあるので、長い目で見る必要があります。
内観療法の例
例えば、今まで自分の夫ほど勝手な人はいない、と思っていた人が、自分が何かを欲しいと言うと、夫がいつもそれを叶えてくれていたことを思い出し、いかに自分が愛を受けていたかということに感謝し、自分のあり方を懺悔するようになります。
そして何回も内観を繰り返していると、昔夫が自分のリクエストに応えて買ってきてくれた特別なチーズケーキの香りまで思い出し、その時の夫の表情や自分の気持ちまでもがいきいきとよみがえってきて、その晩の出来事を再体験します。
ゲシュタルト療法的に言うと、その時の本当の自分にコンタクトできた、ということになります。
内観療法を体験するには
「内観研修所」という場所があります。
色々調べてみたところ、下記ページに掲載されているところは比較的信頼のおける場所なのではないかと思いました。
とはいえ私が実際に行き体験したわけではないので、ご自身の目で確認してください。
参考
国分康孝『カウンセリングの理論』
内観療法 l 一般社団法人 日本臨床心理士会